理念情報

 「哲学的コラム」
Japanese Dream Realization



「ショーペンハウアーとセネカの解脱涅槃と一切皆空について」



JDR総合研究所 代表
天川貴之




 ショーペンハウアーは、『意志と表象としての世界』(続編T)の中で、仏陀の教えとして、「一切は空である。この世に実在はない。」と述べている。

 「一切皆空」こそ、「諸法無我」である。仏陀の教えには、諸行無常、諸法無我、そして、涅槃寂静の三法印があるが、これが仏法の印である。

 ショーペンハウアーもまた、この「一切皆空」を説くのである。すなわち、「意志と表象としての世界」とは、「一切皆空」の世界なのである。故に、ショーペンハウアーの哲学的世界は、仏陀の解脱と涅槃の幸福を説くのである。

 そして、ショーペンハウアーは、セネカの『心の平静について』など、セネカの哲学が数多く引用されている。このセネカの説く「心の平静」とは、ストア哲学の真髄であるけれども、それはまた、仏陀の解脱と涅槃の幸福と同じものなのである。

 確かに、「心の平静」は、老荘思想においても説かれているが、それは、主として、仏陀の涅槃の境地なのである。

 また、ヘーゲルも、『宗教哲学』において、仏陀の哲学などのインド哲学、そして、老荘思想にも言及している。

 ヘーゲルは、キリスト教の神と宗教、及び預言は、世界宗教でなければならないと述べている。すなわち、全ての人類にとっての普遍的な神仏でなければならないと云うのである。そして、仏教や老荘とも、その真理の同一性を説くのである。

 このように、ショーペンハウアー哲学とヘーゲル哲学の本質は、仏陀の真理にもあるのである。





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