理念情報

 「哲学的コラム」
Japanese Dream Realization



「理念恋愛と理念芸術の華について」



 「天才は、普通の人びとがただ一度しか持たぬ青春を何度もくりかえし経験する」とは、ゲーテの実感のこもった御言葉であるが、青春が心の若さの顕れであるならば、心を常に青く春のような生き生きとした状態に保っておくことは、大切であろう。

 恋愛というものも、心の若さの象徴である。しかも、豊かな情操の自然な顕れである。ゲーテの恋愛詩を読んでいると、彼がただ単なるプレイボーイではなく、恋愛を通して人生の本質を探究し、世界の本質を探究しようとされたことが分かる。

 その意味で、ゲーテは数多くの恋愛体験を、詩という芸術形式を通して、理念(真善美聖)とは何かということを雄弁に語られている。恋愛体験を通して、詩人は、時には「神」を観じ、「神」を表現し、「神の世界」を顕現することが出来る。そして、無常なる世界の一瞬の美と芸術性を、永遠普遍の真象として表現することが出来る。

 すべての中に「道」があるという光明荘厳の哲学の立場から観れば、人類の大半が経験する恋愛の中に「道」があるのは当然であろう。青春の華にも様々なものがあるであろうが、恋愛は基本的に青春の華である。そして、華道のように、その華をどのように活かして芸術に成してゆくかということは、美の悟りの差が如実に出るものなのである。

 恋愛にも悟りの道があり、美と芸術にも悟りの道があり、それは、ミューズになるための永遠普遍の王道である。日本においても、実在の人物である在原業平の恋愛遍歴と詩作をモデルにした伊勢物語は、恋愛と芸術を通した美の悟りの道を開示しているものである。そもそも和歌の大半は恋愛歌である。恋愛が、永遠普遍の文化の泉源であり、理念芸術の泉源であることには変わりはない。

 恋愛の中に道をつけ、積極的に理念恋愛を謳歌してゆくような時代こそが、真の意味で、全人類の春の時代、新ミレニアムの時代、新生ルネサンスの時代といえるのではないだろうか。そのために、健全な良識と寛容な祝福の心のある、活き活きとした社会を創ってゆきたいものである。

 あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。



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