理念情報

 「哲学的コラム」
Japanese Dream Realization



「ロックと福澤諭吉と世界史的現実について」



  ロックは、ピューリタン革命と名誉革命という時代の嵐の狭間に生きられた金剛石のような哲人である。二つの大きな政治的宗教的嵐の中をくぐり抜けられ、見届けられながら、現実そのものの中で真理を思索されている。

 ロックは、既に三十代にして、イギリスを代表する哲人として、知る人ぞ知る存在であられたが、その人間洞察のセンス、政治洞察のセンス、経済洞察のセンス、教育洞察のセンス、科学洞察のセンス、宗教洞察のセンスの鋭敏さとバランスの良さには感動を覚える。ロックの学問に、このような中庸の徳、中道の徳を与ええたのは、彼の天分もさることながら、厳しく生々しい現実生活そのものであったのであろう。

 その意味で、イギリス名誉革命とアメリカ合衆国の建設の中には、幾分老練された中庸、中道の思想的合理性を感ずる。この思想的合理精神を最も日本において継いでおられた方が、福澤諭吉ではなかったかと思われる。

 その意味で、本当は、福澤諭吉は、その思想的洗練さにおいて、イギリスのロック、アメリカのエマソンに比肩する世界史的位置づけを与えらえてしかるべき思想家であろう。福澤諭吉の「学問のすすめ」と同じく、「帝室論」を読めば、「天」の哲理というものに対する解釈が、いかに柔軟に、日本的精神の真髄とも合致するように述べられているかということが分かる。

 その思想的洗練の証は、大きく体制が変わった「戦前」「戦中」「戦後」「新時代」を通して、この思想の根本的生命が旧くならないばかりか、さらなる新鮮さを有して新生されている所を観れば分かることであろう。福澤諭吉の思想もまた、明治維新、第二次世界大戦という二つの歴史的革命的事件を通して、その真理の真価を証明しているといえるのである。

 あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。



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