理念情報

 「哲学的コラム」
Japanese Dream Realization



「美意識と平衡感覚と大和心について」



 金閣寺の中にも美があるが、より日本的であると思える美の一つに、銀閣寺もある。そこには、日本の禅の心が現れている。一見簡単にみえるたたずまいの中に、日本人は永らく心の静けさを見い出してきた。それは、決して人間の欲望を刺激するようなものでもなければ、三島由紀夫の「金閣寺」の小説のように、人間の心の劣等感や嫉妬心を刺激するようなものではない。

 三島由紀夫の小説も、題材が「銀閣寺」であれば、もっと日本の奥ゆかしい健全な精神性と美意識を表現できたであろう。「金閣寺」の中にも、「銀閣寺」の中にも、日本人のバランス平衡のとれた美意識があり、双方の中に、日本人の大和心が宿っている。そして、その双方の美しさは、世界中に一つのメッセージを投げかけることであろう。

 大和心というものの奥ゆかしさは、日本人の心の内に秘やかに宿っている。そしてそれが、政治の世界にも、経済の世界にも、教育の世界にも、科学の世界にも、時として顔をのぞかせる。そして、不思議な平衡感覚をもたらすのである。

 ほぼ同時代、同地域の文化的遺産の中にも、それぞれに趣の異なった悟りの美の世界が表現されているのは、大和心というものがいかに多面性に富んでいるのかということを表現しているのである。

 同じように、政治の世界にも、経済の世界にも、教育の世界にも、科学の世界にも、それぞれの悟りの美の趣の違いがあっても、それこそ文化の豊かさではないだろうか。その中には、時には人生の教訓となるものもあり、時には新時代のビジョンとなり得るものもあるのである。

 あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。



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