｢天才とは何か｣



「哲学的コラム」
Japanese Dream Realization

「天才とは何か」

　天才とは、一体どういう存在なのであろうか。天の才ということは、天より来たる才能ということである。この天才とは、まさしく、天上世界の真理を把握することができるのである。天上世界の真理のことを理念という。この理念を把握することによって、天才は天才たりうるのである。

　通常の才能というものは、理念を把握するのではなくて、物事を説明する概念を把握するのみである。すなわち、観じえている世界が、通常の才能と天才とでは異なるのである。

　宗教でも、哲学でも、芸術でも、人間と世界の本質を把握することを目的としている点では同じであろうが、通常の才能では、悟性による概念の把握の枠の中にあるといえるのである。

　通常の習練というのも、この悟性による概念の把握についてなされるのみである。しかし、天才はこれに加えて、内在せる深き理性の光を輝かせ、概念を超えた理念を把握し、それを表現することができるのである。

　人間の本質にしても、世界の本質にしても、概念の段階では、真にその本質を看破しているとはいえないのである。人間の本質、世界の本質の中に、理念を見い出してこそ、真理そのものを把握できたといえるのである。

　概念とは、真理の外枠であるが、理念とは、真理の実質である。概念で洞察されたものは、存在にしかずぎないが、理念によって洞察されたものは、真実在である。概念で把握されるものはまだ地上的であるが、理念で把握されるものは、天上的なるものである。

　すなわち、真に理性の光を発揮するものこそが、真なる天才であり、かかる天より来たった天才によってのみ、同じく天上的なる理念は把握されるといえるのである。

　あらゆる面において、すべては善くなってゆくしかないのである。

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